改正道路交通法が2019年12月1日から施工されましたね。私は週末ドライバーですが、一度に長い時間乗ることも多いですし、知らない土地に行くことも多いのでカーナビが手放せません。
Google Mapの交通状況の優秀さにも惚れ惚れしてます。
しかし今回の改正では、その「画面を見る」ところに割とポイントがあります。
はじめに
何が変わったの?
改めまして、令和元年法律第20号にて道路交通法が改正されました。おおまかに挙げると以下の3点くらいが気になるところですかね。
- 運転免許証の再交付について
- 自動運転車使用に関する規則の新設
- ながら運転の罰則強化
特に最後の「ながら運転の厳罰化」が割と注目されがちですね。(私も大注目です)が、他にもいくつか変わっているポイントがありましたので、こちらも合わせて簡単に紹介しますね。
なんで変わったの?
下図に記載していますが、以下の要因に対応するためです。
- 「携帯電話等の使用が起因となった交通事故の増加」への取り締まり強化
- 「自動運転」の実現に向けた準備
運転免許証の再交付について
何が変わったの?
再交付の条件が緩和されました
【改正前】汚損、破損、紛失など免許証自体が使い物にならなくなった場合だけ
【改正後】上記に加えて、以下の変更が生じた場合にも再交付の手続きが可能になります。
- 免許証の番号
- 免許の年月日並びに免許証の交付年月日及び有効期間の末日
- 免許の種類
- 免許を受けた者の本籍、住所、氏名及び生年月日
(道路交通法:第九十四条 二項 → 第九十三条を参照する流れになってますが抜粋してます)
身近に起こりうることで言えば「本籍」「住所」「氏名」が変更になった時点で免許証の再交付ができるようになりました。ということで、変更のタイミングで希望すれば、裏面ではなく免許の再交付という形が取れるようになりました。
私の免許証は表裏合わせて4つ住所があった時がありました。。。
なお、あくまで「再交付」なので、ブルーの人がゴールドに切り替わる、とかはありません。
自動運転車使用に関する規則の新設
どういうことが書かれているのだろう?
道路交通法 第六十三条に追加されています。
- 作動記録装置による記録についての規定
- 自動運転車を運転する人の義務についての規定
作動記録装置による記録についての規定
大まかに条文を要約するとこのようなイメージとなります。
自動運転車はその動作を「正確に記録」できる必要があります。正確に記録ができない場合は自動運転車を運転させる、運転することはできません。また、記録した情報の保存も行う必要があります。
※記録装置については少し情報収集が足りていないので、本エントリでは触れません。
自動運転車を運転する人の義務についての規定
以下の2点が大きなポイントとなっています。 (第七十一条の四の二)
- 前述の装備をしていないなど自動運転車としての要件を満たさない車両を、自動運転車として運転してはいけません。
- 自動運転車の要件を満たす車両を運転する場合、道路交通法「第七十一条 五の五」 は適用されない。
下線付きの条項ですが、本エントリの「ながら運転」で出てくる条文となります。が、自動運転車両を運転する場合は「ながら運転」にあたる操作をしていても罰則が生じません。(要件を満たせなくなった場合に即時運転できる状態であることが必須ではありますが)
ながら運転の罰則強化
今回改正の肝になっている部分でしょうし、多くの人が気にするであろう項目ですね。
一発免停がありうるようになった
改正前後の比較表は口述しますが、携帯電話等の使用/画面注視が原因となる交通事故を起こした場合に、一発で「免許停止」となります。(減点6)また、反則金納付の対象外となり「1年以下の懲役」または「30万円以下の罰金」の罰則が適用されます。
改正前後の比較
改正前後の罰則、反則金、減点について比較してみました。
携帯電話使用等(保持)
まずは、単純に使用した場合の罰則についてです。本項の「保持」とは「通話、画像注視(保持)する行為」を指します。
改正前 | 改正後 | |
罰則 | 5万円以下の罰金 | 6か月以下の懲役 または10万円以下の罰金 |
反則金 | 大型…7000円 普通…6000円 二輪…6000円 原付…5000円 | 大型…25000円 普通…18000円 二輪…15000円 原付…12000円 |
点数 | 1点 | 3点 |
使用するだけで、従来の3倍近い罰則が適用されるようになっています。
携帯電話使用等(交通の危険)
次に、携帯電話使用等が原因による交通事故を引き起こした場合の罰則についてです。本項の「交通の危険」とは、「通話、画像注視(保持)、画像注視(非保持)することによって交通の危険を生じさせる行為」を指します。端末の操作だけではなく、カーナビを注視してしまった結果引き起こした交通事故についても含まれます。
改正前 | 改正後 | |
罰則 | 3か月以下の懲役 または5万円以下の罰金 | 1年以下の懲役 または30万円以下の罰金 |
反則金 | 大型…12000円 普通…9000円 二輪…7000円 原付…6000円 | 適用無し 反則金制度の対象外となり すべて上述の罰則対象 |
点数 | 2点 | 6点(免許停止) |
なかなかヘビーな罰則ですね。あくまで道交法違反の罰則なので、他の違反が重なると尚のこと重くなります。(当たり前ですけど)
結局何に気を付ければいいの?
そもそも「交通の危険」とは何?
「信号無視」「交通事故」などを指します。画面を注視することにより他者への状況確認がおろそかになれば多大な危険を及ぼしかねません。
「ながら運転」にならないためには?
そもそも運転中は携帯電話に触らない。カーナビも使わない。とすればほぼ確実に大丈夫ではあります。が、この意見では明らかに原理主義者過ぎますね。
道路交通法「第七十一条 五の五」にて、「停止している場合を除き、無線通話装置の通話、または画像表示用装置の画面を注視しないこと」とあります。よって、停車中の端末操作は違法にはならないと解釈できると思います。(信号待ちで停車中なら、カーナビの操作もできるようにセットアップされてますしね)
最後に
携帯電話などを頻繁に操作しながら運転される方はなかなかいらっしゃらないと思います。が、カーショップによってはカーナビ取り付け時に運転中でもテレビ見れるようにセットアップしてくれる場所もありますよね。(今後はやるところ減ると思いますけど)
「ついつい…」や「電話がかかってきたから…」が今後は割と致命的になりかねません。安全に停止できる場所で電話や一緒に交通ルールを守って楽しいカーライフにしましょう。
参考文献、リンク
記事作成時の参考資料
「警察庁」の法律ページ(改正前後の差分PDFもあり、把握しやすいです)
ながら運転の罰則に関するリーフレットです。表はこのリーフレットを基に作成しています。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/law/R1poster/R1doukouhoukaisei_leafletB.pdf
本記事の関連条項
道路交通法の関連条項について記載します。原文に興味がある方は「e-gov法令検索」などを使用して、関連条項を参照いただければよいかと思います。前述の警察庁HPで改正前後差分を見て対象条項を見るのもいいと思います。
【免許の再交付】に関連する条項
- 第九十四条 (免許証の記載事項の変更届出等)
【ながら運転の罰則強化に関連する条項】
- 第七十一条 五の五 (運転者の遵守事項)
【e-gov法令検索】
ありがとうございました。
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